宮城の海 再生の兆し


流出したホタテとカキの養殖網(女川)


岩肌に新生するホヤの幼生(女川)


流出した家庭用品の壺に着生するヒトデ(気仙沼)


ウニとコンブが蘇生しウミタナゴが舞う(気仙沼)


ウニと海藻が蘇生する(気仙沼)

7月下旬、大震災の津波で壊滅状態になった気仙沼にほど誓い唐桑沿岸の海に潜った。
夏なのに、海水温は冷ややかに感じる16度。
湾内は、津波の影響で、まだかなり濁っている。湾のなかほどでは、カキの養殖が再開されていた。底はヘドロ状態で、触れると泥が巻き上がる。それでもカキは栄養豊富な海水があれば大丈夫なのだと、カキ養殖を営む畠山精一さんはいう。
ここの沿岸は、山から染み出る養分が湾内に流れ込んでプランクトンの発育を助け、それがおいしくて大きいカキを育てるのだと畠山さんは自信をのぞかせていた。
浅瀬に潜ってみると、湯飲み茶碗と並んで沈んでいる壺のふたに、ヒトデががっちりと張り付いている。梅干でもつけていた壺だろうか。日常生活の残映とヒトデの組み合わせが、心の中でどうしてもしっくりこず、現実の光景だと思えない。
海の生き物も、これまでに見たこともない環境に驚いているのではないか。
湾の出口あたりの海底にはコンブ類の海藻が繁殖し、アワビやウニを見つけるのにも不自由しない。地元の海ではないので震災前の状況と比較できないが、ウミナタゴやアイナメの泳ぐ姿からは、海の生態系がよみがえりつつある手ごたえが感じられた。


2011年8月7日(日曜日) 
読売新聞 「日わかるサイエンス」掲載